浮草雑記帖

暮らし。からだとこころ。自然。

八幡来宮神社

f:id:ukikusa9:20211104075610j:plain

9月の初め、伊豆高原の大室山浅間神社へ磐長姫を詣でた際、せっかくここまで来たのだから他にも行く場所はないかと駅でもらった観光案内用地図を眺めていたところ、駅から歩ける距離に神社を見つけた。リュウビンタイの北限自生地とある。リュウビンタイは南方によく見られる大型のシダ植物で、一時期、観葉植物として人気が出て、私も部屋に置きたいと憧れていたことがある。子供の頃から南の気分を運んでくれる植物が好きなのだ。うちではすでにセロームを育てていたので結局リュウビンタイを迎えることはなかったが、そのときのほのかな憧れが今も続いていて、すぐにここだ!行ってみようという気になった。宿からバスで駅に向かい、駅から20分程歩いたころに八幡来宮神社の赤い鳥居が見えた。観光パンフレットに大きく紹介されているわけでもなく、住宅街を通り抜けた先にある神社なので予想通り観光客は誰もいない。しかし、鳥居の向こうには一面緑の広々とした空間と雨風に晒された白木の社務所。足を踏み入れるなり、わあ〜っ気持ちいい!と心の中で声をあげてしまった。木々の間から木漏れ日が差込み、清々しい空気が満ちている。

f:id:ukikusa9:20211104075704j:plain

来宮八幡神社は本来この地にあった八幡宮来宮神社を合祀したと伝えられている。御祭神は、八幡宮誉田別命(ほむたわけのみこと)と伊波久良和気命(いわくらわけのみこと)。もともと海辺の岩窟に祀られていた伊波久良和気命は大変お酒好きの神さまで、沖を通る船に酒の奉納を強要するため困った船人たちが沖が見えない現在地へと遍祀したとの言い伝えを知り、ならばお酒をお供えしなければならないだろうと駅で地元のカップ酒を買っておいた。

f:id:ukikusa9:20211104075653j:plain

f:id:ukikusa9:20211104075945j:plain

しばしの間、お供えした後、置きっぱなしでいいのかわからずお酒は撤去したが、手前の小さなお社にはすでにお酒のお供えがあった。

f:id:ukikusa9:20211104075900j:plain

f:id:ukikusa9:20211104080144j:plain

f:id:ukikusa9:20211104080215j:plain

あちこち蚊にさされながらも、静かで気持ちがよくて、いつまでも佇んでいたくなるような場所だった。穴場。

hatimanguukinomiya.net